12年住んでわかった心地良いLDKづくりに欠かせないこと

心地良いLDKづくり

こんにちは。

かとう建築設計事務所の主婦×建築士です。

【家を建てる時、建てから】では、私が家を建てた時に考えていたこと、実際に住んでみて感じていることなどを、主婦の目線を交えつつ綴っていきます。

私は家を建ててから、今年で12年を迎えます。

建築したのは、かとう建築設計事務所入社前のこと。

ちょうど東日本大震災があった年です。

子どもが生まれて半年ほど経った頃に検討を始め、知人の勤める建築士事務所に依頼して建てました。

我が家の基本情報

2011年に自然素材の家を建築

ムクの床材、漆喰壁、造作建具、造作キッチンなどが特徴

家族構成は筆者、夫、子ども2人、うさぎ1匹

住まいにおける生活の中枢 LDK

家づくりに求めること、理想とする住まいのイメージは、ご家庭によって本当に様々です。

家族が一緒に過ごす空間であり、生活の中心となるLDKにこだわりを持つ方も多いのではないでしょうか。

LDKは、

 L=Living(リビング・居間)

 D=Dining(ダイニング・茶の間)

 K=Kitchen(キッチン・台所)

の3つの機能をひとまとめにした多目的な空間です。

「こんな風に暮らしたい」というイメージは、家族構成や生活スタイル、育ってきた環境によっても違ってくるでしょう。

  • 料理をしながらリビングでくつろぐ家族とコミュニケーションを取りたい
  • 開放的なリビングで遊んでいる子供を見ながら家事をしたい
  • 夕食の支度で忙しくても、ダイニングで宿題をする子供を見守りたい
  • 家族で揃って大きなテレビを観たい
  • まるでホテルやカフェのようなにおしゃれな空間でリラックスしたい

新しいお家、新しい生活、夢が広がりますね。

L、D、Kの役割が一体となったLDKなら、これらの役割を全て兼ね備えた空間とすることも可能。

来客時にはおもてなしをする場にもなりますね。

LDKは多様な役割を持ち、生活の中枢となる空間です。

家族で長い時間を共に過ごす場所だからこそ、心地良い空間づくりをしたいものです。

【家を建てる時】LDKづくりで重視したこと

実はプランニングを始めた当初、LDKに関してはぼんやりとしたイメージしかありませんでした。

求めていたことはひとつ。

「子供を見守りながら家事ができる使い勝手の良さ」です。

新築計画当時、私は0歳の双子育児奮闘中でした。

住んでいたのは1階にLDKと水廻り、2階に個室があるメゾネットタイプの賃貸住宅。

赤ちゃんが2人もいると、洗濯物を1階から2階に干しに行くのも一苦労。

寝室は2階だったため、一日に何度も子供を抱いて階段を行ったり来たり。

階段の上下にはベビーゲートをつけて安全対策はしていたものの、相手は後追い期の赤ちゃん×2です。

子供から目を離さざるを得ない時間もあり、かなり神経を遣う生活を送っていました。

そんな経緯があり、私にとってLDKに求める最重要事項は「子供を見守りながら家事ができる」ことでした。

【建ててから】①暮らしやすい動線が生み出すもの

「子供を見守りながら家事ができる使い勝手の良さ」を重視した間取りのお陰で、我が家はほとんどの家事を1階だけで完結させることができます。

LDKに隣接している洗面脱衣室、ランドリールームへのアクセスは抜群。

料理の合間に洗濯機を回し、干すのも畳むのも大きな移動の必要がありません。

幼い子供から目を離すリスクを冒す必要もなくなりました。

また、回遊性があるため動線が重ならずに済むことも、家事ストレス軽減に一役買っています。

暮らしやすい動線、家事がしやすい動線は、時間と心のゆとりを生み出します。

ゆとりが生まれれば、生活の質(QOL)の向上にも繋がります。

そして、大規模リフォームなどで間取りを変更しない限り、この使い勝手の良さは恒久的なもの。

子供が大きくなってしまえば、幼い子にするような見守りは必要なくなります。

でも、将来もし身体に多少衰えを感じるようになっても、ワンフロアで生活ができると思うと安心です。

家事効率を良くする間取りの工夫は、注文住宅だからこそできること。

そこでの暮らしがずっと続いていくのです。

だからこそ妥協せずに、使い勝手の良さを追求して正解だったと思います。

【建ててから】②暮らし始めて12年 子どもの成長とパーソナルスペースの変化

この家に暮らすようになり、もうすぐ12年が経ちます。

子供が幼いうちは、LDKは遊び場でした。

家族の距離がとても近く、親子でピタッとくっついてソファーに座るのが幸せ。

物理的にも精神的にも距離が近く、狭い空間が心地良かったほどです。

ですが、あっという間に月日は流れ、四六時中見守りが必要だった子も今や思春期。

もう家族4人でピッタリくっついてソファーに座ることはありません。

今ではそれぞれがリビングとダイニングの好きな場所で、好きなことをしてくつろいでいます。

【子供が幼かった頃】

パーソナルスペースが狭く、家族の距離が近い

【子供が思春期になった現在】

子供のパーソナルスペースが広くなり、

お互いに心地良い距離感で過ごすように

人がそれぞれ持つパーソナルスペースは、成長と共に変化すると言われています。

パーソナルスペースとは、他者に侵入されると不快に感じる領域のこと。

相手との関係性や個人差もありますが、一般に子供はパーソナルスペースが狭く、成長に伴う変化が大きいようです。

ついこの間までは平気でハグを求めてきた子供から「もう少し離れて座って」なんて言われたら、親としては少し寂しく感じることもあるかもしれませんね。

でも、それも自我の成長や自立心が芽生えた証。

無理にパーソナルスペースに踏み入ろうとすると、個室に籠り切りなんてことにもなりかねません。

良い親子関係を保つためにも、お互いのパーソナルスペースを尊重するのは大事なことだと思います。

お互いの気配を感じながら、適度な距離を取ってそれぞれがプライベートタイムを過ごせる。

今、私がLDKで過ごすうえで大切にしていることです。

理想のLDKをつくる前提にあるのは、家族の心地良い距離感なのかもしれません。

【建ててから】③L+DKのレイアウトが生んだ家族の心地良い距離感

家族が集まるLDKで心地良く過ごせるかどうかは、距離だけの問題ではありません。

いくら多少距離が離れていても、常に向かい合っていたり背後から見られているようなポジショニングは、心理的に緊張しやすい状態と言われています。

では、お互いの気配を感じつつ、リラックスして過ごせる要素とは何でしょうか。

それは、

  •  お互いの距離が取れること
  •  背後に壁や棚があること
  •  視線がずれる、遮れること

我が家のLDKは、リビングとダイニングキッチンの間に間仕切りがあるわけではありませんが、緩やかに空間が分かれています。

食事をする場所とくつろぐ場所が分かれている「L+DK」タイプ。

ダイニングから見たリビング

ダイニング側から見たリビング

このレイアウトのデメリットを敢えて挙げると、壁が多いこと。

凸凹が多い形状のため、どうしても死角ができます。

ですが、自然にお互いの距離を取ることができ、視線がずれる点は、メリットとも言えます。

気づけば子供が壁や柱を背にして座っているところを見ると、無意識のうちに背後を守る安心感を求めているようにも感じます。

家を建てるときに意図してこのようなレイアウトにしたわけではありません。

正直に言えば、計画当時には想像できていませんでした。

家族の気配を感じつつプライベートな時間を過ごせる距離感。

今のところ我が家の子供たちにとっては、個室に籠るよりもこの距離感が心地良いようです。

さいごに

「子供を見守りながら家事ができる使い勝手の良さ」を重視したLDKは、家事ストレスの少ないLDKでした。

実際に暮らしてみると、家事効率の良さによって時間と心にゆとりが生まれました。

また、10年以上暮らしてみてわかったのは、心地良く過ごせるLDKには家族の程良い距離感が欠かせないということ。

家を建てる前には気づかなかったこと、子供の成長や暮らしの変化によって気づけたことです。

これから家づくりに取り組む方は、ぜひこんな視点も取り入れてみて頂ければと思います。

この記事をSNSでシェア!