うさぎと一緒に暮らす家 室内環境編
大切な家族であるペットと一緒に心地よい家で暮らしたい
家を建てたらペットを飼ってみたい
そんな願いを抱いている方は多いのではないでしょうか。
今は新しい情報技術が目まぐるしくアップデートされていく時代。
IoT技術を取り入れた暮らし方も、少しずつ浸透し始めています。
だからこそ、体温を肌で感じられる生き物に癒しを求めたい。
そう感じるのは自然なことなのかもしれませんね。
ペット需要の今
コロナ禍をきっかけにペットの需要が高まったと話題になりましたよね。
ペットフード協会の「犬・猫の飼育頭数調査」によると、実際には新規飼育意向はゆるやかに下降傾向にあると報告されています。
犬、猫の飼育頭数、飼育率はほぼ昨年から横ばいであり、新規飼育意向は低下が続いている。
飼育の阻害要因として 犬は生体価格の高さが年々増加傾向にあり、犬、猫としては 若年層ほど「飼育費用」や「飼育経験がないので大変さがわからない」が高くなる傾向にある。
ペットフード協会の「犬・猫の飼育頭数調査」
その一方で、大手ペット保険会社の調査では、ペット保険の契約者数が年々増加しているそうです。
創業当初はペットに保険など考えられもせず、ペットの保険証という概念も常識外れでした。しかし、この保険証を病院の窓口で使用する仕組み(窓口精算)を多くの動物病院様に支援いただいたおかげで、ペット専用の保険証は広くペット飼育者の方々にも浸透し、今や日本におけるペット保険の普及率は12.2%にまで成長し、現在も伸び続けています。
アニコム損害保険株式会社 プレスリリース
下降傾向にある飼育頭数に反してペット保険契約者が増えているということは、
ペットは家族の一員
人間と同じように心地よい環境を
と、ペットをかけがえのない存在と考えている人が多いということ。
特にこの数十年、家族の小規模化が進んでいると言われています。
子どもを持たない選択、選択ひとりっ子、パートナーがいても婚姻制度にこだわらない等、家族の在り方が変化する中で、ペットの存在意義が高まっているのかもしれませんね。
ペットが家族の一員として心地よく暮らすには、どんな環境が望ましいのでしょう。
この記事では、近年ひそかに人気が高まっているうさぎをピックアップします。
うさぎとの生活ってどんな感じ?
うさぎと聞いてイメージするのはどんな姿ですか?
長い耳?
ぴょんぴょん跳ねる姿?
×印のお口?
その愛らしい姿から、様々なキャラクターのモチーフとしても人気が高い動物ですよね。
うさぎとの暮らし
草食動物であり、肉食動物から捕食される側のうさぎ。
活動的な時間帯は主に明け方と夕方(薄明薄暮性)
自然界で行動が目立ちやすい日中や夜行性動物が活発になる夜間は、じっと過ごしていることが多いです。
飼いうさぎの場合、ある程度飼い主さんの生活リズムの影響を受けると言われています。
うさぎは基本的にはとても静か。
声帯がなく、犬や猫のように鳴き声で意思表示をすることができません。
発する音と言えば、時たま鼻をぷぅぷぅ、ぶぅぶぅ鳴らす音。
甘えている、興奮しているなど、ご機嫌なしるしです。
後ろ足で床をダン!と叩いて音を出すこともあります(スタンピング。通称「足ダン」)
これは仲間に危険を知らせるための警戒音。
危険を察知した時、不快を感じた時などに見られる行動です。
飼い主に怒っている意思表示とも言われています。
また、うさぎには体臭がほとんどありません。
においが気になるとすれば、牧草やペレットフード、排泄物の臭い。
日々のお世話を怠らず清潔にしていれば気にならないレベルです。
基本的に飼育はケージの中。
完全な室内飼いが可能で、散歩の必要もありません。
毎日1時間程度、ケージから出して遊ばせてあげれば、限られたスペースでもそれなりに運動ができます。
つまり、犬や猫に比べれば、飼い主のライフスタイルや住環境を見直す必要性が比較的低く、ペットとして受け入れやすいと言えるのかもしれませんね。
うさぎにしつけはできる?
実際のところ、犬や猫のようにしつけをするのは難しいと言われています。
トイレを覚えてくれる子は多いですが、どうしても覚えられない子もいます。
ものをかじる、ソファーや畳をホリホリするなどの行動も、しつけによって止めるのは困難です。
止めさせようという発想を転じて
この場所なら好きに齧っていい
好きにホリホリしていい
と考えた方が、うさぎにとっても飼い主にとってもストレスが少ないかもしれませんね。
うさぎって懐くの?
「捕食される側」であるうさぎは、もともと警戒心が強い動物です。
たいていの子は、抱っこされるのが大嫌い。
動きを抑えられると必死で逃げようとします。
中には触れるのさえ許してくれない子も。
けれども、時間をかけて信頼関係を築くことができれば、ちゃんと懐きます。
呼ばれた名前に反応して走ってくる
撫でて欲しくて甘える
ぺろぺろ手をなめる
心を許して飼い主の隣でごろんと横になる
簡単に心を開いてくれる相手ではないからこそ、そんな姿を見るとたまらなく愛おしく感じますよ。
うさぎを飼うのに必要な環境は?
以前は小学校の校庭の片隅に、よくうさぎ小屋を見かけましたよね。
最近では小学校の飼育環境が適していないことや先生の働き方改革等の理由で、うさぎを飼育する学校が減ってきています。
実はうさぎは環境の変化に敏感で、とても繊細な動物。
過酷な暑さや寒さの中、狭い空間で多頭飼いするのはストレスの原因になります。
ペットは大切な家族の一員。
安心して健康的に暮らせる環境を整えてあげたいですね。
室内飼いが基本!
飼育は室内で行うのが基本です。
まずはうさぎ用のお家=ケージを用意してあげましょう。
うさぎの飼育を始める際に必要なもの
ケージ(うさぎのサイズに合うもの)
トイレ・給水ボトルまたは器・牧草入れ・足裏を保護するためのスノコ
トイレ砂・ペットシーツ・ラビットフード・牧草
ケージを置くのに適している場所は、温湿度の管理が可能な部屋。
直接エアコンの風が当たる場所を避ける
直射日光が当たる場所を避ける
などの配慮も必要です。
LDKの一角などに設置すれば、いつでも様子を見ることができ信頼関係を築きやすくなりそうですね。
アナウサギがルーツである飼いうさぎは、あまりオープンな場所では安心できません。
どちらかというと、狭くて暗いところが好き。
ケージの側面のうち、少なくとも1~2面は壁に接する場所を用意してあげると良いでしょう。
うさぎをお迎えするのに最低限必要な準備は以上。
ただし、健康で幸せに長生きしてもらうには、色々な注意が必要です。
命にも関わる温湿度環境
うさぎにとっての適温は16~24℃、湿度は40~60%程度。
エアコンや除湿機、加湿器による空調管理が必須です。
うさぎは全身をふわふわの毛で覆われているだけではなく、汗腺がほとんどありません。
人間のように汗をかいて体温調節ができないため、特に暑さは苦手。
28℃を超えるほどの高温や急な気温の変化は体調不良のきっかけにもなりやすく、命に関わることもあります。
ルームエアコンを使って細やかな空調管理をするには、ある程度区切られた空間が適しています。
特にリビング階段、吹き抜け、ワンフロアリビングなどの大空間は注意が必要。
同じ室内でも、場所によって温度差が生じやすくなります。
空調機器に内蔵されているセンサー任せにせず、うさぎのケージ付近に温湿度計を設置して目を配る必要があります。
空調代を考えると、コンパクトな空間の方がお財布にも優しいですね。
季節や時間を感じられる光環境を
室内で飼われているうさぎでも、本能的に季節や時間をちゃんと認識します。
そのため、太陽光の自然な動きを感じられる環境がベスト。
直射日光が当たる場所は避け、レースのカーテン等で遮ってあげると良いでしょう。
暗くて狭いところが落ち着く子もいれば、日向ぼっこが好きな子もいます。
明るい環境が落ち着かないようであればトンネルを置く、ケージにタオルをかけてあげる等すると安心してくれます。
大きな音はストレスです
うさぎの長い耳は、人間に比べて周波数の高い音、より遠くの小さな音まで拾っています。
いち早く危険を察知するために備わった聴力です。
とはいえ、通常の生活音はそれほど気を遣わないで大丈夫。
最初は洗濯機や掃除機など特定の音が苦手でも、徐々に慣れてくれます。
急な大声や衝撃音、聞き慣れない音は怖がることもあります。
うさぎが後ろ足で床をダン!と強く叩く時は、警戒、またはお怒りのサイン。
警戒を続けなければならない状態は、強いストレスになります。
可能であれば音源を取り除きましょう。
これだけはやっておきたい安全対策
狭いケージ内だけでずっと過ごしていると、うさぎも運動不足になってしまいます。
なるべく毎日室内に放し「部屋んぽ」をさせてあげれば運動になり、飼い主さんにとって直接触れ合えるお楽しみの時間になること間違いなし。
ですが、部屋んぽには準備が必要です。
幼い子供がいるお家で家庭内事故を防ぐための安全対策を施すのと同じ。
言葉がわからない動物が相手だからこそ、事故が起こらないように環境を整備したいものです。
フローリングはNG
うさぎを遊ばせるスペースは、フローリングなどの堅い床は不向きです。
なぜなら、うさぎの足の裏には肉球がなく、毛で覆われているから。
堅い床の上で生活を続けていると
足裏の毛が剥げて皮膚の炎症を起こす原因になる
滑りやすく怪我の原因になる
などのリスクが生じます。
足裏を保護するために、カーペットのようなクッション性のある敷物を敷いてあげましょう。
滑らず安心して過ごせることがわかれば、カーペットの上でうさぎダッシュを披露してくれるかもしれませんね。
かじかじ対策
うさぎは歯が生涯伸び続ける動物です。
硬い牧草を主食としていれば自然と歯は削れていきますが、本能として色々なものをかじります。
しつけて止めさせられるものではありません。
よくかじるのは家電製品のコード類、紙類、布類、木製品など。
壁紙やソファーをぼろぼろにしてしまったという話も、うさぎあるあるです。
中にはビリビリにする感触が楽しくて執着してしまうという子も。
大切な書類やコード類を嚙まれてしまったら、もちろん困りますよね。
うさぎの前歯は案外鋭く、コードなどはひと嚙みで切断します。
気づいて止めようとしてもあとの祭り。
うさぎにとっても感電や誤飲のリスクがあります。
万が一誤飲してしまった場合、うさぎは飲み込んだものを吐き出すことができないため、命に関わりかねません。
部屋んぽ中のかじかじ対策
- うさぎの行動範囲にコード類、紙類、布類、木製品等を置かない
- 家電のコードはコードカバーで保護する
- 家具は保護クッションをつける
- ペットサークル等を使って行動範囲を限定する
- おもちゃや市販のかじり木などを与えて気をそらす
かじるのが大好きな子、あまり興味がない子など、もちろん個体差はありますが、「かじらせない」ためのお部屋作りをしておくと安心です。
参考レイアウト
LDKが一体となっている場合、うさぎに入ってほしくないエリアはペットサークルなどを使って仕切ると安心です。
冒険心が強く脱走してしまったら、抱っこして部屋んぽエリアに戻しましょう。
個体差はありますが、サークルを出る=嫌なことをされる と認識して脱走を諦めてくれるかも。
水色のエリアのようにカーペットを敷くと、ソファーの周りも走ってくれそうですね。
ソファーやテーブルの下は、うさぎが安心して休憩できる場所にもなります。
うさぎを飼うお部屋のレイアウトに正解はありません。
どんなに安全に配慮していても、困った行動(粗相、登ってほしくない場所に登る、脱走など)を完璧に防ぐのは難しいでしょう。
ですが、困った行動を減らすための環境調整は、飼い主さんの大事な役割でもあります。
その子の成長、トイレで排泄ができるかどうか、性格などを見極めつつ、お部屋作りを楽しめるといいですね。
さいごに
筆者の家には現在5歳のうさぎがいます。
撫でられるのが大好きで、家族みんなに「なでて!」とせがむ甘えん坊。
ところが、存分に撫でられて満足すると、名前を呼ばれても知らんぷり。
都合の良いツンデレ女子です。
うさぎは犬や猫に比べると
「感情表現が乏しい」「無表情」「何を考えるかわからない」
などと言われることもあります。
なかなか散々な言われようですね。
でも、一緒に暮らしているうちに、行動や表情から何を考えているか読み取れるようになってきて、意思の疎通ができるようになってきます。
その攻略こそがうさぎを飼う醍醐味だと言う人もいるくらいです。
これからペットをお迎えしたいと考えている方、うさぎさんと一緒に暮らす家を建てたいという方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
■この記事を書いたひと