「三方原の家」は築20年の木造住宅。
建てた当時はお子さんたちも小さかったのですが、成人し結婚して家を出ていき生活様式がかわったこともありリフォームを決意されたそうです。

- 築年数
- おおよそ築20年
- 建物規模
- 木造軸組み工法/新耐震/新省エネ基準(H4年基準)
- リノベ範囲
- 部分リノベ 約25坪(居間、客間、キッチン、ダイニング、風呂、洗面、トイレ、廊下)
- ご家族
- 子育てを終えた世帯
- リノベのきっかけ
- 子供が独立して家をでたため
- リノベの際のご要望
- ・暗かったキッチンを明るくしたい
・使いにくかった客間をどうにかしたい
・90代の高齢者がいるので住みながらのリノベ - 工事日数
- ・1期工事(UB、洗面、脱衣室):約14日 ・2期工事(LDK+旧客間):約30日 ・3期工事(トイレ3日+廊下他7日):約10日
- 設計・監理、施工
- かとう建築設計事務所株式会社
設計のポイント
「三方原の家」リノベーションは、LDKと客間を中心に、水回りや廊下までを見直す「部分リノベーション」として計画しました。
特にLDKまわりは使い勝手がよくなるように再設計も視野にいれていたため、壁の撤去可否の判断が非常に重要となっていました。
そのため、構造や施工を熟知した 一級建築士・加藤が事前に現地調査を実施。
撤去できる壁と残すべき柱を慎重に見極めながら、お客様のご要望を丁寧にお伺いし、暮らしやすさとデザイン性を両立したリノベーション計画をたてました。
「三方原の家」のリノベーションで特筆すべきは、「90代のご高齢のご家族が暮らす中で、住みながら工事を進める」という難易度の高い挑戦でした。これは施工者側だけでなく実際に住んでいる方にとっても大変な心労を伴うため、お施主様のご協力なくして成し得ないとも思っています。
通常、リノベーションは設計者と施工者が別々に動くことが多いものですが、施工まで熟知した建築士・加藤だからこそ、設計段階から現場の状況を見据えた緻密な計画が可能に。特に大きな課題となったのが、生活に欠かせない「水まわり」の確保です。
工事完了まで使えないのではあまりに不便ですし、かといって工事中の場所を使うのは安全面でリスクがあります。そこで、生活動線への影響を最小限に抑えるため、全体の工期を3期に細分化。各フェーズが完了するごとに設備を使用できるよう工夫を凝らし、日常生活への負担を最小限に抑えた「住みながらのリノベ」を実現しました。
| 工程・内容 | 工期 | 生活への配慮・ポイント |
|---|---|---|
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第1期工事 水まわり(浴室・洗面・脱衣室) |
約14日 | 90代のご家族の負担を考え、まずは衛生環境を最優先で整備。UB(ユニットバス)への刷新により、冬場のヒートショック対策や安全性を向上させました。 |
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第2期工事 LDK + 旧客間(広々リビング) |
約30日 | 活用頻度の低かった客間を解体し、家族が集まる大空間に。養生(工事中のホコリ対策)を考慮して、キッチンを含む扉で区切れる範囲としました。 |
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第3期工事 トイレ + 廊下・その他 |
計10日 | トイレ(3日)と廊下(7日)を最終仕上げ。2帖ある広めのトイレ。使えない期間を最短にするため、一級建築士の管理のもと、分刻みの緻密な工程で進めました。 |
子供中心の生活から、自分たち中心の暮らしへ
POINT01 暗いキッチンを明るく、狭いダイニングを広く
新築当時は「収納は多ければ多いほど良い」と考え、造り付けの棚やキッチンの吊戸棚を充実させていました。しかし、子育てがひと段落した今の暮らしでは、それらが部屋を狭く、そして暗く感じさせる要因になっていました。
今回のリノベーションを機に思い切って「断捨離」を行い、キッチンの吊戸棚やダイニングの大型収納を撤去。物理的なスペースを広げるだけでなく、視線を遮るものをなくすことで、部屋の奥まで光が届く開放的な空間を創り出しました。
結果として、リビングとダイニングが一体となり、視界がパッと広がる「自分たちが主役の住まい」へと生まれ変わりました。

造り付けの家具があったり、大きいキッチンカウンターも部屋の割に大きかったのがその原因。

Point 02 「使わなくなった客間」を「集まれる大空間」へ再設計
LDKに隣接する客間。
新築当時は来客も多く頻繁に使っていましたが、近年はそれほどでもなくただの「使い勝手の悪い部屋」になっていました。
リノベをする際、この客間をどうしようかというのが一つのテーマでした。
色々悩みましたが「リビングと繋げて子供たち家族が来た時に集まれる広い空間にしよう」ということに。
客間は居間と台所両方から行き来きできるようになっていましたが、台所側を封鎖、居間側も無駄な壁を撤去してひとつの部屋に、子供たち世帯が一度に集まれる広い空間としました。近くに住んでいるお子さん世帯はお孫ちゃんと一緒に頻繁に遊びに来れるようになりました。
また、畳敷きだった居間をフローリングに、床板の目も長手方向に揃えて一体的な空間になるようにしました。
これで「使わない客間+古い居間」が「孫たちがきても遊びまわれる広くて明るいリビング」に生まれ変わりました。


近くに住んでいるお孫さんたちが気軽に遊べるスペースになりました。
Point 03 2帖の広々トイレを再構築
便器と手洗い、小便器が併設された約2帖ある広いトイレです。小便器を使うこともなくなってきたり、大きい手洗いは便器にいくのを邪魔していたりしていました。
今回、90代のご高齢のご家族も安心してお使いいただけるよう、レイアウトの根本から見直しました。使わなくなった小便器を撤去し、手洗いの位置を最適化。これにより便器への入り口が広がり、歩行器や車いす、将来的介助が必要になった際にも、スムーズに方向転換やサポートができる安心の広さを確保しました。
また、毎日の「掃除のしやすさ」にもこだわりました。
空間の引き算をすることで、「高齢者の自立した住まい」と「日々のお手入れのしやすさ」が共存する、年齢を重ね足腰が弱くなってきても暮らす人にとって優しいトイレへと生まれ変わりました。


自分たちの暮らし方を支える「住宅力」を高めました
Point 04
内窓をつけて冬の寒さと窓結露を根本から解決
「三方原の家」の断熱レベルは建設当時の「新省エネ基準」程度。
今の基準からみると断熱的には決して十分とはいえません。特に当時の窓の多くはガラスが一枚(単板ガラス)で熱が逃げやすいため冬場窓付近が寒くなります。
そこで「三方原の家」では今の窓の室内側にもう一つ窓をつける「内窓」を採用。逃げる熱を減らし冬窓付近のヒンヤリ感(コールドドラフト)や窓につく結露を低減。部屋の断熱性能もあがるので室内の寒さも低減してくれます。


資料提供:LIXIL

資料提供:LIXIL
客間をリビングに変えて、家族が「帰りたくなる実家」へ
「使わなくなった部屋」は、少しの工夫とプロの知見で「お気に入りの場所」にも変わります。今回、客間を取り込んで広げたLDKは、お孫さんたちが走り回り、三世代がゆったりと食卓を囲める、家の中心へと生まれ変わりました。
断熱性能の向上や水まわりの使い勝手など、目に見えにくい部分のアップデートこそが、住み慣れた我が家をこの先もずっと愛せる場所に変えてくれます。
「古いから仕方ない」と諦める前に、ぜひ一度ご相談ください。
今の建物のポテンシャルを最大限に引き出し、ご家族のライフスタイルに寄り添った「最適解」を見つけるお手伝いを一級建築士・加藤がいたします。

住まいづくりをご検討の方へ
最後までお読みいただきありがとうございます。
子育てが終わって、これからの暮らしをご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
- 使わない部屋の有効利用を考えたい
- 窓が冷たい、冬の窓につく結露水をどうにかしたい、寒くない家にしたい
- 「住みながらリノベーション/リフォーム」がどんなものか知りたい
かとう建築設計事務所はそんな方に寄り添いながら、全力で家づくりをお手伝いします。
三方原の家リノベphoto




施工中のブログ
リノベーション工事中のブログです。90代のご高齢者もいらっしゃったので引っ越しをしないで住みながらの工事です。工事が終わったらすぐ使えるように3回に分けておこないました。1回目は風呂、洗面・脱衣室、2回目はLDK、3回目はトイレというように特に水廻りは工事が終わったらすぐ使えるように工夫しました。
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