中古リノベのローンと補助金|選び方と進め方

中古住宅を買ってリノベーションするとき、総額を大きく左右するのが「ローンの組み方」と「補助金の活用」のです。同じ工事内容でも、どのローンを選ぶか、使える補助金を取りこぼさないかで、最終的な負担額は変わってきます。
結論からお伝えすると、リノベの資金計画は、物件探しと同じくらい早い段階で組み立てておくべきです。とくに補助金は「工事を始める前の申請」が原則のものが多く、知らずに進めると、使えたはずの支援を逃してしまうことがあります。
この記事では、リノベで使えるローンの種類、補助金の選び方、そして申請の進め方を、実際に実務をしている浜松の設計事務所の視点で整理します。中古+リノベと新築のどちらにするか迷っている段階の方は、先に「中古住宅+リノベ vs 新築の比較記事」もあわせてご覧ください。
この記事のポイント
- 資金計画の土台は「自己資金とローン」。補助金は費用負担を軽くする「上乗せ」と考える
- 中古物件の購入費とリノベ費用は、一本のローンにまとめられる場合がある
- 補助金は「着工前申請が原則」「予算切れで早期終了」「年度ごとに内容が変わる」の3点に注意
- 制度は数が多く要件も複雑。計画の早い段階で専門家と整理するのが確実
資金計画の土台は「自己資金とローン」
最初に、資金計画の考え方として一番大切なことをお伝えします。「資金計画は順番(優先順位)が大切」ということです。
リノベの資金計画の土台は、あくまで自己資金とローンです。補助金は、使えれば費用負担を軽くしてくれる「上乗せ」と考えて資金計画したほうが、万が一というときでも安全です。後述するとおり、人気の制度は予算切れで早期に終了することがあり、要件を一つ満たさないだけで対象外になることもあります。さらに、制度によっては工事費をいったん全額支払い、後から戻ってくる「償還払い」の場合もあるので過度に補助金をアテするのは少し危険です。
そこでおすすめしたいのは、「補助金がゼロでも成り立つ資金計画」を先に立てておくという順序です。自己資金とローンだけで無理のない計画をつくり、その上で「使える補助金があれば、その分だけ費用負担が軽くなる」と考える。こうしておけば、補助金が使えたときは純粋にプラスになり、使えなかったときも計画は揺らぎません。
この前提に立ったうえで、断熱改修を計画に入れれば省エネ系の補助金が視野に入る、といった具合に、工事内容と制度を早い段階から合わせて検討していきます。あくまで「土台はローンと自己資金、補助金は費用負担を減らす上乗せ」という順序を崩さないことが、安全な資金計画のコツです。

補助金は当然期待するよ。結構金額も大きいから助かるよ。

(中の人)
確かにそうですよね。当然、期待します。大切なのは資金計画の順番で、仮に補助金がなくても成り立つ資金計画を先に立てておくことが重要です。
リノベに使えるローンの種類
住宅ローンとリフォームローンの違い
リノベの資金として使える主なローンは、大きく「住宅ローン」と「リフォームローン」の2種類です。
住宅ローン:
住宅の取得(購入や新築)を主な目的としたローンです。金利が比較的低く、返済期間を長くとれるのが特徴です。中古住宅の購入とあわせてリノベを行う場合、後述の「一体型」を使えば、リノベ費用まで住宅ローンの枠でまかなえることがあります。
リフォームローン:
すでに持っている住まいの改修を目的としたローンです。住宅ローンに比べて手続きが簡単で、借入までが早い反面、一般に金利は高めで、借入期間も短めに設定される傾向があります。「すでに住んでいる家を部分的に直す」「比較的小規模な工事」に向いています。
どちらが有利かは、工事の規模・物件の状況・自己資金とのバランスで変わります。中古物件の購入から始める大きなリノベなら住宅ローン側で組めないかをまず検討し、すでにお住まいの家の部分改修ならリフォームローンも選択肢、という整理が出発点になります。
中古物件の購入費とリノベ費用を一本化できるローン
中古+リノベで知っておきたいのが、物件の購入費とリノベ工事費を、まとめて一本の住宅ローンで借りられる商品があることです。低金利の住宅ローンの枠でリノベ費用までカバーできるため、リフォームローンを別に組むより総返済額を抑えやすく、中古+リノベと相性のよい方法です。

ただし、この一体型を使うには契約のタイミングに条件があります。ローンの本申込みの時点で、リノベの工事請負契約書や見積もりが必要になるケースがあるなど、「物件の購入契約」と「リノベの工事契約」の順序とタイミングが重要になります。物件を見つけてから慌てて進めると、段取りが合わずに一体型が使えなくなることもあるため、資金計画は物件探しと並行して、早めに専門家と組み立てておくことをおすすめします。


補助金は「3つの層」と「目的別」で整理する
補助金は数が多く、名前も毎年のように変わるため、「どれが自分に関係あるのか分からない」となりがちです。そこで、まず大枠を2つの軸で整理すると見通しが立ちます。
1つめの軸は、制度を出している主体の「層」です。補助金は、(1)国、(2)都道府県(静岡県)、(3)市区町村(浜松市)の3つの層が、それぞれ別に用意しています。この3層は、組み合わせて使える場合と使えない場合があるため、「併用できるか」を必ず確認します。
2つめの軸は、工事の「目的別」のカテゴリです。リノベで関係してくる補助金は、目的でみると次の4タイプに整理できます。
- 省エネ系(断熱・窓・給湯など):国の大型の省エネ補助が中心で、毎年なんらかの形で実施されています。窓の断熱改修や高効率給湯器の導入などが対象になりやすく、補助額も比較的大きい分野です。性能を上げるリノベと相性がよく、リノベ補助の「主役」になりやすいカテゴリです。
- 耐震・防災系:浜松市は地震や台風の影響を受けやすい遠州地方ということもあり、木造住宅の耐震補強への助成など、防災・耐震の支援が手厚いのが特徴です。中古の木造住宅を買ってリノベする場合、耐震性の確保は安心して長く住むための要であり、この分野の制度は中古+リノベと特に相性がよい支援です。多くは工事の前に耐震診断を受けることが前提になります。
- 高齢者の住みやすさ:手すりの設置や段差の解消など、高齢のご家族のための小規模な改修は、補助金とは別に介護保険の住宅改修費が使える可能性があります(後述)。
- 移住・子育て系:市外から移り住む方や、子育て世帯を対象とした支援が用意されている場合があります。対象者の要件が細かいことが多いので、自分が該当するかの確認が要ります。
実例:性能を上げる中古リノベ
当事務所で手がけた「山東の家」は、築30年の中古住宅を購入し、断熱・性能を引き上げる性能向上リノベを行った事例です。間取りを今の暮らしに合わせて造り替えながら、住まいの基本性能を底上げしました。省エネ系の補助金は、こうした「性能を上げるリノベ」と相性がよく、計画段階で工事内容と制度を合わせて検討する価値があります。
▶ 性能向上リノベの実例「山東の家」を見る
なお、各カテゴリの具体的な制度名・補助額・申請期限は、毎年見直されます。その年に実際に使える制度の一覧は、年度ごとにまとめた別記事でご確認ください(後半でご案内します)
高齢の家族のための住宅改修なら介護保険も
高齢のご家族の暮らしやすさを整える工事を行う場合は、補助金とは別に介護保険の住宅改修費が使える可能性があります。
要支援・要介護の認定を受けている方が住む住宅で、手すりの設置・段差の解消・滑りにくい床材への変更・引き戸への変更・洋式便器への取り替えなどの小規模な改修を行う場合、支給限度基準額20万円までの範囲で、原則7〜9割(自己負担1〜3割)が支給される制度です。20万円の範囲内なら、複数回に分けて利用することもできます。
この制度も、着工前の申請が原則です。ケアマネジャーや市の窓口を通じた手続きが必要になるため、リノベ全体の計画に早めに組み込んでおくことが大切です。
当事務所では、福祉施設の設計で培った高齢者の住環境の知見を、住まいのリフォームにも活かしています。たとえば「三方原の家」では、90代のご家族が暮らす中で「住みながらの工事」を実現し、暮らしやすさと工事の両立に配慮しました。
補助金を取りこぼさないための3つの注意点
制度の数は多く、要件も複雑です。最後に、補助金を使うときに必ず押さえておきたい3点を整理します。
1. 着工前申請が原則
多くの制度は、工事を始める前の申請が条件です。「工事を始めてから」では対象外になることがあるため、計画の段階で使える制度を確定させておく必要があります。
2. 予算切れで早期終了することがある
特に国の人気事業は、年度の途中で予算上限に達して受付を終了することがあります。「来年でいいや」と先送りすると使えなくなる、という性質のものだと考えておくのが安全です。
3. 年度ごとに内容が変わる
補助額・対象工事・要件は毎年見直されます。前年に使えた制度が今年は終了している(長期優良住宅化リフォーム推進事業のように)こともあります。情報は必ず公開時点の公式情報で確認してください。
この3点をまとめると、結局は「計画の早い段階で、制度に詳しい専門家と一緒に、工事内容と制度を合わせて組み立てる」ことが、補助金を取りこぼさない一番の近道になります。
補助金申請の大まかな流れ
制度ごとに細部は異なりますが、補助金を使うときの流れは、おおよそ次のように進みます。
- 使える制度の洗い出し:設計の段階で、物件と工事内容に合う制度を整理します。
- 工事内容の確定と見積もり:補助の対象になる工事・性能を満たすよう、計画を固めます。
- 交付申請(着工前):ここが最大のポイント。多くの制度は、交付決定の通知を受け取る前に契約・着工してしまうと対象外になります。
- 工事の実施。
- 完了報告・実績報告:工事後に、定められた書類で報告します。
- 補助金の受給:審査を経て支給されます。償還払いの制度では、いったん全額を支払ったうえで、後日戻ってくる形になります。
申請手続きは、住宅省エネ系の制度のように登録事業者が代行するものと、介護保険のように本人(および関係者)が申請するものがあります。いずれにせよ、設計事務所や施工者と早い段階で段取りを共有しておくことが、スムーズな申請につながります。
最新年度に使える補助金は別記事でまとめています
ここまでお伝えしたとおり、補助金は具体的な事業名・補助額・申請期限が毎年変わります。そのため、その年に実際に使える制度の詳細は、年度ごとにまとめた別記事で随時更新しています。検討時点の最新情報は、こちらでご確認ください。
▶ 【2026年版】浜松で使えるリノベ・リフォームの補助金まとめ
よくある質問(FAQ)
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中古物件の購入費とリノベ費用は、まとめて住宅ローンにできますか?
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まとめて借りられる住宅ローンがあります。低金利の枠でリノベまでカバーできるため、中古+リノベと相性が良い方法です。ただし契約のタイミングに条件があるため、早めの資金計画をおすすめします。
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補助金は工事の後からでも申請できますか?
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多くの制度は着工前の申請が原則です。工事を始めてからでは対象外になることがあるため、計画段階での確認が必要です。
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補助金を当てにして資金計画を立てても大丈夫ですか?
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あまりおすすめしません。補助金によっては急な予算切れなどの要因で使えないことも考えられます。資金計画の基本はまず、自己資金とローンで組み、補助金は「使えれば費用負担が軽くなる上乗せ」と考えた方が得策です。
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リフォームローンと住宅ローン、どちらを選べばいいですか?
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工事の規模と物件の状況によります。中古物件の購入から始める大きなリノベなら、低金利の住宅ローン(一体型)で組めないかをまず検討します。すでにお住まいの家の部分的な改修なら、手続きの早いリフォームローンも選択肢です。
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どの補助金が使えるか、自分で調べるのは難しそうです。
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制度は数が多く要件も複雑なため、計画段階で制度に詳しい専門家に相談するのが確実です。物件と工事内容に合わせて、使える制度を整理できます。
まとめ|浜松でリノベの資金計画を立てるなら
中古+リノベの負担額は、ローンの組み方と補助金の活用で大きく変わります。ただし補助金はリノベ資金として計画に組み込まず、「使えれば費用負担が軽くなる上乗せ」と考えるのが安全です。自己資金とローンだけで成り立つ計画を先に立て、そのうえで使える制度を探す——この順序にしておけば、万が一補助金が使えなかったときも計画は揺らぎません。とくに補助金は、着工前申請・予算切れ・年度ごとの変更という3つの注意点があり、早めの準備が有利になります。
かとう建築設計事務所では、性能向上リノベや、補助金を活用したリノベの実績があります。資金計画や使える制度の整理を含め、計画の早い段階からのご相談を承っています。「この物件で、どんな制度が使える?」という最初の段階から、お気軽にご相談ください。
この記事を書いた人

加藤 晴康
(KATOU Haruyasu)
かとう建築設計事務所株式会社 代表取締役
/ 一級建築士 / 宅地建物取引士
1974年浜松市生まれ。大学の建築学科を卒業後、住宅業界での実務を経て2012年に独立。
木造を得意とし、設計のみならず、構造計算、断熱計算、そして現場管理に至るまで、一貫して自ら手がける稀有な建築士。
現場の細部まで熟知しているからこそ可能な、住まい手の想いに寄り添う丁寧な家づくりを行い、多くのお客様からご支持をいただいている。
家族構成: 妻、子の3人家族
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