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中古住宅+リノベーションvs 新築
費用・性能・資産価値を徹底比較【浜松の設計事務所が解説】

和室からみた土間

「中古住宅を買ってリノベーションするのと、新築で建てるのと、結局どちらがいいんだろう?」

家づくりを考え始めた多くの方が、最初にぶつかる分かれ道です。結論から先にお伝えすると、どちらが正解かは条件次第です。判断を分けるのは、おもに「費用」「性能」「資産価値」の3つの軸。この記事では、浜松市で実際に設計施工している一級建築士の視点で、3つの軸プラス実務的な2つを加えた計5つの視点から比較します。

読んでいただいて、この記事があなたの暮らし方や予算にとってどちらが向いているのかを判断する一助になれたら嬉しいです。

目次

「中古+リノベ」と「新築」の違い 早見表

スクロールできます
比較軸中古住宅+リノベ新築
総費用抑えやすい(物件+工事)高くなりやすい
立地の選択肢多い(既存市街地に物件が豊富)土地探しから
性能(耐震・断熱)性能向上リノベで新築相当も可能最新基準で安心
間取りの自由度構造により制約あり高い
資産価値立地面(土地)では優位高いが建物は目減りする
入居までの期間物件探し次第で前後比較的読みやすい

それぞれの比較軸を、以下で詳しく見ていきます。

中古+リノベと新築、根本的な違いとは

建物外部は外壁と屋根の再塗装をおこないました

「中古を買ってリノベ」という選択肢が増えている背景

かつて住宅といえば「新築一択」という時代が長く続きました。しかし近年、中古住宅を購入して自分たちの暮らしに合わせて造り替える「中古+リノベ」が、現実的な選択肢として定着しています。

理由は大きく3つあります。1つめは建築費・地価の上昇で、新築のハードルが上がったこと。2つめは空き家・中古住宅の流通量が増え、選べる物件が豊富になったこと。3つめは断熱・耐震を含む「性能向上リノベーション」の技術が普及し、古い家でも新築に近い快適さを実現できるようになったことです。

つまり「安いから中古」ではなく、「立地と価格と性能のバランスが取れるから中古を選ぶ」という前向きな動機に変わってきているのです。

浜松市の中古住宅市場の現状

浜松市は、市街地に手頃な価格の中古戸建てが比較的多く流通しているエリアです。子育て環境や通勤利便性の良い立地に、すでに建っている家が出てくることも珍しくありません。新築用の土地が見つかりにくい人気エリアでも、中古+リノベなら住みたい場所に住める可能性が広がります。

一方で、築年数や構造によってはリノベの難易度や費用が大きく変わるため、「どの物件を選ぶか」が成否を分けます。物件選びの段階から建築の専門家に相談する重要性は、後ほど改めて触れます。

【費用比較】

中古+リノベと新築、どちらが安い?

物件価格+リノベ費用の総額で考える

中古+リノベの費用は、「中古物件の購入価格」と「リノベーション工事費」の合計で考えます。たとえば築20〜30年の中古戸建てを購入し、間取り変更や性能向上を含むしっかりしたリノベを行う場合、30坪くらい(4人家族の一般的な家の大きさ)のお家で工事費はおおむね1,000万〜2,500万円程度が一つの目安になります(範囲・グレード・物件の状態により大きく変動します)。

物件価格を抑えられれば、総額で新築より安くなるケースが多いのが中古+リノベの強みです。とくに、立地が良く、程度のよい物件に出会えた場合のコストメリットは大きくなります。

新築にかかる費用の内訳

新築の場合、建物本体の工事費に加えて、土地の取得費、地盤改良、外構、各種申請費用などがかかります。浜松市内で30坪くらいの住宅の場合、建物と外構関連でおおよそ2,500万~3,500万、土地と諸経費で1,500~2,000万円とすると総額おおよそ4,000万~5,500万円くらいからかかる感じになります。(条件により金額は大きく変わります)

新築は「すべてを新しく作る」ぶん、品質と性能が最新基準で揃う安心感がありますが、リノベと比較すると費用がかかる、と整理できます。

「中古+リノベの方が安い」が当てはまらないケース

ただし、中古+リノベが必ず安いわけではありません。次のようなケースでは、総額が新築に近づく、あるいは上回ることもあります。

  • フルスケルトン(構造躯体だけの状態)まで解体して大規模に造り替える場合
  • 昭和56年以前の旧耐震物件で、大幅に性能向上しなくてはいけない場合
  • 古い設備配管をすべて更新する必要がある場合

「思ったより費用がかかった」という後悔は、物件選びの段階で建物の状態を見極められなかったことが原因であることがほとんどです。費用を正しく見積もるには、購入前の建物調査が欠かせません。

中古+リノベと新築、どちらが安い?

購入する中古物件次第ですが、「中古+リノベ」の方が安くなる。
ただし条件次第では新築より高くなることがあるので物件選びが大切。

新築より高くなるのにリノベする人なんているの?

かとう
(中の人)

確かに物件を買ってリノベをするケースは少ないでしょうね。
ただ、今まで住んでいた家に思い出があると「建て替えた方が確かに安いけど」とリノベを選択する方は結構いますよ。

【性能比較】

耐震・断熱はどちらが優れているか

新築の性能基準

新築は、現行の建築基準法や省エネ基準に沿って建てられるため、耐震性・断熱性ともに高い水準が標準で確保されます。性能の面で「最初から安心」という点は、新築の明確なメリットです。

中古+性能向上リノベで新築相当にできるのか

「古い家は寒いし地震が不安」というイメージから、中古を避ける方もいます。しかし、性能向上リノベーションを行えば、断熱材の追加や内窓の設置で断熱性を高め、構造の補強で耐震性を引き上げることが可能です。新築同等、場合によっては長期優良住宅(増改築)の認定を取得できる水準まで性能を上げることもできます。長期優良住宅(増改築)の認定を取得すると、建物としての性能が公的に証明されるため耐震性や断熱性の不安からは解放されます。

旧耐震・新耐震の見極めが分かれ目

性能を考えるうえで重要なのが、その建物が「新耐震基準」かどうかです。1981年(昭和56年)6月以降に建築確認を受けた建物は新耐震基準で、それ以前のものは旧耐震基準です。旧耐震の物件でも補強は可能ですが、補強範囲が大きくなり費用がかさむ傾向があります。

ここでも、物件選びの段階で構造を読める専門家の目が活きます。実際に当事務所で手がけた築30年の中古住宅を性能向上リノベした「山東の家」では、長期優良住宅(増改築)の認定を取得し、耐震・断熱性能を大きく引き上げました。

耐震・断熱はどちらが優れているか

「中古+性能向上リノベ」で新築同等は可能。
長期優良住宅(増改築)の認定もとることができれば耐震性や断熱性能の不安は無くなります。

【資産価値比較】

売るとき・住み継ぐときどちらが有利か

新築の資産価値の下がり方

新築は購入時点が資産価値のピークで、入居した瞬間から「中古」になります。木造住宅は税法上の評価でも年数とともに建物価値が下がっていくため、当初の高い価値が比較的早く目減りする点は理解しておきたいところです。

リノベ済み中古の資産価値の考え方

中古+リノベの場合、建物価格はすでに大きく下がった状態で購入するため、価値の下落幅は緩やかです。さらに、価値が落ちにくい「立地(土地)」を広い選択肢の中から選べるのが中古の強みでもあります。良い立地(土地)は、住み継ぐときも、いざ手放すときも有利に働きます。

長期優良住宅化リフォームで評価が変わる

性能向上リノベで長期優良住宅の認定を取得すると、建物としての性能が公的に証明され、資産としての評価にもつながります。先ほどの「山東の家」は、まさにこの考え方で性能を見える化した事例です。「古い中古住宅を買う」のではなく「価値ある住まいに育て直す」という発想に近いといえます。

売るとき・住み継ぐときどちらが有利か

建物の資産価値は新築の方が高い。ただ年々目減りする。
対して土地は価値が落ちにくいため、中古リノベも視野に入れて検討すれば選択範囲が広がり良い立地を取得しやすくなるため将来住み継ぐにしても売るにしても有利。

【自由度・住み心地比較】

間取りとデザイン

新築の自由度

新築は更地から設計するため、間取りの自由度が最も高い選択肢です。生活動線も外観も、ゼロから理想を反映できます。

中古+リノベの自由度と構造による制約

中古+リノベでも、間取りの大幅な変更は十分に可能です。ただし、撤去できる壁と残すべき柱・耐力壁の見極めが必要で、ここに構造の知識が問われます。逆にいえば、構造を理解した設計者が関われば、既存の家でも驚くほど自由なプランを描けます。

立地で選べるのは中古の強み

新築は理想の土地が見つからないと前に進めませんが、中古は「すでに良い立地に建っている家」から選べます。住みたいエリアが決まっている方ほど、中古+リノベの自由度(=立地の選択肢)は大きな価値になります。

間取りとデザイン

「中古+リノベ」でも、間取りの大幅な変更は十分に可能。
ただし、構造を理解した設計者が必要。

【期間・手間比較】

入居までの流れと時間

新築のスケジュール

新築(注文住宅)は、土地探し・プラン・確認申請・着工・竣工と段階を踏みます。期間は読みやすい一方、土地探しが長引くと全体が後ろにずれます。土地が見つかってから入居までおおよそ1~1.5年くらいでしょうか。

中古+リノベのスケジュール

中古+リノベは「物件探し → 建物調査 → 設計 → 工事 → 引き渡し」という流れです。

工事自体は、フルスケルトンのリノベの場合、おおよそ新築と同じくらいかかります。ただし、新築と違って既存の程度(傷み具合・劣化の程度)により工期は伸びる可能性があるのがリノベの特徴です。

入居までの流れと時間

良い物件に出会えるかどうかでスタートのタイミングが変わるため、早めに専門家と動き始めるのが成功のコツです。

あなたはどっち向き?
タイプ別の判断ガイド

新築が向いている人

「中古+リノベ」が向いている人

「中古+リノベ」で

後悔しないための3つのポイント

1. 構造を理解した専門家に物件診断を依頼する

中古+リノベの成否は、物件選びの段階でほぼ決まります。「この家は希望の間取りに変えられるか」「補強にいくらかかるか」を、購入前に構造の視点で見極めることが、予算オーバーや計画の頓挫を防ぎます。

2. 設計から施工監理まで一貫して関わる体制を選ぶ

リノベでは、図面どおりに進まない場面が必ず起こります。壁を開けてみたら想定と違った、住みながらの工事で生活動線を確保する必要がある ―― こうした現場の判断を、設計と施工の両方を見据えて下せる体制があると安心です。

たとえば「三方原の家」では、90代のご家族が暮らす中で「住みながらの工事」を実現するため、工期を3期に分けて生活への負担を最小限に抑えました。設計段階から現場を見据えて計画できたからこそ成し得た進め方です。

3. 補助金・減税を最大限に活用する

性能向上リノベには、活用できる補助制度や減税があります。申請には要件や手続きの知識が必要なため、制度に詳しい専門家と進めることで、受けられる支援を取りこぼさずに済みます。

【浜松の実例】築30年の中古住宅を

性能向上リノベした「山東の家」

築30年の中古戸建てを購入された30代のご家族が、単なる設備交換にとどまらず、耐震・断熱の性能向上まで含めてリノベされた事例です。長期優良住宅(増改築)の認定を取得し、使いにくかった独立型キッチンを明るい対面式に変更。薪ストーブや土間リビングのある、家族が自然と集まる住まいに生まれ変わりました。

「中古住宅を買って、自分たちらしく暮らしたい」を形にした実例として、ぜひご覧ください。

【浜松実例】長期優良住宅化リフォーム|築30年中古住宅の性能向上リノベ「山東の家」を見る

【施工事例】築30年の中古リノベ「山東の家」(浜松市) 「中古住宅を購入して自分たちらしく暮らしたい」という思いを、性能向上リノベーションで叶えました。 長期優良住宅(増改築)認定を取得し、目に見えない耐震・断熱性…

よくある質問(FAQ)

中古+リノベでも住宅ローンは使えますか?

使えます。物件購入とリノベ費用をまとめて借り入れできるローンもあります。物件購入と工事の契約タイミングが関わるため、早い段階で資金計画を立てておくと安心です。

築何年までの物件ならリノベできますか?

築年数だけで一律に判断はできません。重要なのは構造の状態と、新耐震基準かどうかです。築30年前後でも、適切な補強と性能向上で快適な住まいに再生できます。

リノベ費用の相場はどのくらいですか?

工事範囲によって大きく変わります。間取り変更や性能向上を含むしっかりしたリノベでは1,000万〜2,500万円程度が一つの目安ですが、物件の状態や仕様により上下します。正確な金額は建物調査のうえでお見積りします。

まとめ|
浜松で中古+リノベを検討するなら

中古+リノベと新築は、どちらが優れているという話ではなく、暮らし方・予算・立地への優先順位で選ぶものです。費用を抑えつつ良い立地に住みたい方、自分たちの暮らしに合わせて住まいを造り替えたい方には、中古+リノベは非常に有力な選択肢になります。

そして中古+リノベの成否は、物件選びと、設計から関わる専門家の存在で大きく変わります。かとう建築設計事務所では、物件探しの段階からのご相談を承っています。「この物件はリノベできる?」という最初の疑問の段階から、お気軽にご相談ください。

この記事を書いた人


加藤晴康の写真
加藤 晴康

(KATOU Haruyasu)

かとう建築設計事務所株式会社 代表取締役

 / 一級建築士 / 宅地建物取引士

1974年浜松市生まれ。大学の建築学科を卒業後、住宅業界での実務を経て2012年に独立。
木造を得意とし、設計のみならず、構造計算、断熱計算、そして現場管理に至るまで、一貫して自ら手がける稀有な建築士。
現場の細部まで熟知しているからこそ可能な、住まい手の想いに寄り添う丁寧な家づくりを行い、多くのお客様からご支持をいただいている。

家族構成: 妻、子の3人家族

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