
こんにちは、加藤です。
「浜松で中古戸建ってどのくらいあるのかな?」っという漠然とした疑問から少し調べてみた結果をまとめてみました。
使ったのは国土交通省のデータ、2023~2025年の3年間での流通量。3年間の平均で約500件/年の中古戸建が浜松市内では取引されていました。実際には統計に載っていないものもあるみたいなのでもう少し多いと思いますが、思ったより少ない印象です。記事では築年別だったり地域別でもまとめていますので、中古戸建を検討する方にとって少しでも参考になれたら幸いです。
はじめに
「中古住宅を探し始めたけれど、自分の見ているエリアには、そもそも物件が出てくるのだろうか」。物件サイトを眺め始めた方から、よくいただく不安です。売り出し中の物件は日々入れ替わるため、画面に映る「今の在庫」だけではエリアの傾向はつかめません。
本記事では、国土交通省が公開する取引データ3年分(2023〜2025年・浜松市の中古戸建て相当1,461件)を方面別に集計しています。
地域によって取引している数や築年数に違いがあったのが特徴です。
最初に結論。
先に要点をお伝えすると、取引の厚みは旧中区方面が最多ですが、中古の流通は市内の広い範囲にあります。そして方面によって「動いている建物の築年数」が大きく異なります。引佐・細江・三ヶ日方面では2000年以前の住宅が7割を占める一方、三方原方面では2001年以降の住宅が3分の2です。大半の取引が2000年以降の住宅(築26年くらい)と比較的築浅物件ということがわかりました。件数の多い少ないよりも、この中身の違いを知ることが、エリアごとの探し方を考える手がかりになります。
なお、地盤や災害リスクを含めたエリアの選び方そのものは、恒久版の解説記事「浜松で中古住宅を買うならどのエリア?地形・地盤から見る選び方」をご覧ください。本記事はその判断軸のひとつ「中古ストックの厚み」を、2026年時点のデータで具体化するものです。
この記事のデータについて
集計に使ったのは、国土交通省の不動産情報ライブラリで公開されている不動産取引価格情報です。対象は浜松市(中央区・浜名区・天竜区)、取引時期2023年第1四半期〜2025年第4四半期。このうち種類が「宅地(土地と建物)」で用途に住宅を含む取引、つまり中古戸建てに相当する1,461件を抽出しました(2026年7月取得)。
方面の割り当ては、浜松市が公表している「区再編前と再編後の町字名対応表」(2024年1月1日時点)に基づき、地区名を再編前の旧区へ機械的に対応させています。番地により旧区が分かれる瓜内町・法枝町の10件は、方面別の集計には含めていません(市全体の件数には含みます)。
前提として本記事は公的資料をモトにしていますが、全取引を網羅したものではなく、傾向を把握するための資料です。また個別の取引価格も公開されていますが、本記事では件数と築年の傾向に絞ってご紹介します。
浜松市全体の傾向
3年間の件数は、2023年536件、2024年450件、2025年475件でした。年ごとの増減はあるものの、市内では年450〜540件規模で中古戸建てが取引され続けている計算です。構造は木造が中心で、どの方面でも取引の8割前後を占めます。
築年で見ると、市全体では2001年以降に建てられた住宅が取引の約6割を占めました。「中古=古い家」というイメージを持たれがちですが、いま浜松で動いている中古戸建ての主役は、むしろ比較的新しい住宅です。一方で1981年以前築(いわゆる旧耐震期)の取引も232件あり、古い住宅の市場も確かに存在しています。
方面別に見る流通の分布
再編前の旧区になじみのある方が多いと思いますので、方面は旧区ベースで集計しています(引佐・細江・三ヶ日は現行の町名のため「旧」を付けていません)。

| 方面 | 2023 | 2024 | 2025 | 3年計 |
|---|---|---|---|---|
| 旧中区方面 | 185 | 163 | 137 | 485 |
| 旧東区方面 | 78 | 68 | 70 | 216 |
| 旧南区方面 | 74 | 49 | 63 | 186 |
| 旧浜北区方面 | 52 | 50 | 68 | 170 |
| 旧西区方面 | 67 | 49 | 51 | 167 |
| 引佐・細江・三ヶ日方面 | 42 | 29 | 29 | 100 |
| 三方原方面(旧北区) | 18 | 22 | 30 | 70 |
| 天竜区 | 16 | 16 | 17 | 49 |
| 都田・新都田方面(旧北区) | 2 | 1 | 5 | 8 |
※方面の割当ては「浜松市「区再編前と再編後の町字名対応表【行政区別】」(2024年1月1日時点)」による
※番地により旧区が分かれる瓜内町・法枝町の10件は上表に含みません。
件数の厚みは旧中区方面が485件で最多です。旧東区・旧南区・旧浜北区・旧西区方面がそれぞれ170〜220件前後で続き、市街地の広い範囲で中古の流通があることがわかります。引佐・細江・三ヶ日方面も3年で100件と、一定の流通が継続しています。天竜区は年16〜17件で推移しており、件数は少ないものの安定しています。都田・新都田方面は今回の抽出条件では8件でした。
次に、耐震基準の区分で中身を見てみます。建築年をもとに、1981年以前築(旧耐震期)、1982〜2000年築(新耐震期)、2001年以降築(木造の耐震規定が強化された2000年基準以降)のおおよそ3区分に分けました。
| 方面 | 旧耐震期(〜1981年築) | 新耐震期(1982〜2000年築) | 2000年基準以降(2001年築〜) |
|---|---|---|---|
| 旧中区 方面 | 19% | 26% | 55% |
| 旧東区 方面 | 16% | 23% | 61% |
| 旧西区 方面 | 19% | 19% | 63% |
| 旧南区 方面 | 15% | 26% | 58% |
| 三方原 方面 (旧北区) | 7% | 26% | 67% |
| 旧浜北区 方面 | 10% | 25% | 65% |
| 引佐・細江・三ヶ日方面 | 19% | 51% | 30% |
| 天竜区 | 24% | 43% | 33% |
※構成比は建築年不明の取引を除いて算出。都田・新都田方面は件数僅少のため省略。

市街地の各方面では2001年以降築が過半を占めるのに対し、引佐・細江・三ヶ日方面と天竜区では2000年以前築が7割前後を占め、構成がはっきり異なります。特に引佐・細江・三ヶ日方面は新耐震期(1982〜2000年築)が51%と厚く、この時期の住宅は現行基準に対して耐震・断熱の性能向上の余地が大きい建物が中心です。つまりこのエリアで中古を検討することは、実務的にはリノベーションを前提に検討することとほぼ同義といえます。
ご注意ください
この区分は建築年(完成年)による目安です。過去の耐震基準の適用は、建築確認申請がおりた日であるため、境界の年の前後では多少の件数の違いがあります。
件数の多い・少ないをどう読むか
件数の多い方面と少ない方面、どちらが良いという話ではありません。
件数の多い方面では、選択肢と比較材料が豊富にあります。複数の物件を見比べながら、相場観と「自分たちの譲れない条件」を固めていく探し方ができます。
件数の少ない方面では、希望に合う物件が出たときに、素早く判断できる準備をしておくことが何より価値になります。売り出しから判断までの時間が短い分、「この物件は買ってよいか」を見極める目を先に養っておくことが効きます。構造や劣化のどこを見るかは別の解説記事「失敗しない中古住宅の見極め方|リノベ向き物件のチェックポイント」にまとめていますので、物件が出る前にお読みいただくことをおすすめします。
エリアの選び方は、件数だけでは決められない
本記事で見てきた流通量は、エリアを判断する材料の1つにすぎません。土地の成り立ちや地盤、水害・土砂災害の想定、都市計画上の位置づけといった「あとから変えられない条件」とあわせて考えて、はじめてエリアの判断になります。5つの判断軸と公的データの読み方は別の解説記事「浜松で中古住宅を買うならエリアはどう選ぶか ―― 地形・地盤から見る選び方」で体系的に解説していますので、本記事とセットでご覧ください。
まとめ
2023〜2025年の3年間、浜松市では中古戸建てが1,461件取引されました。厚みは旧中区方面が最多ですが、流通は市内の広い範囲にあります。そして方面によって動いている建物の築年構成は大きく異なり、引佐・細江・三ヶ日方面や天竜区では、性能向上リノベーションを前提とした購入判断が必要になってきます。
気になるエリアがありましたら、物件が出る前の段階からのご相談もお受けしています。エリアの読み方から、個別物件の見極め、リノベーションの計画まで、一貫してお手伝いします。
この記事を書いた人

加藤 晴康
(KATOU Haruyasu)
かとう建築設計事務所株式会社 代表取締役
一級建築士 / 宅地建物取引士/既存住宅状況調査技術者(インスペクション登録者)
1974年浜松市生まれ。大学の建築学科を卒業後、住宅業界での現場実務を経て2012年に独立。
木造を得意とし、設計のみならず、構造計算、断熱計算、そして現場管理に至るまで、一貫して自ら手がける稀有な建築士。
現場の細部まで熟知しているからこそ可能な、住まい手の想いに寄り添う丁寧な家づくりを行い、多くのお客様からご支持をいただいている。
家族構成: 妻、子の3人家族
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FAQs
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この集計の元データは誰でも見られますか?
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はい。国土交通省の不動産情報ライブラリで、どなたでも無料で閲覧・ダウンロードできます。地図から住所を指定して、周辺の取引事例を調べることも可能です。本記事はそのデータを浜松市分だけ抽出し、方面別に集計したものです。
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ここに出てくる件数は、いま売り出されている物件の数ですか?
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いいえ。過去に取引が成立した件数の集計であり、現在売り出し中の物件数(在庫)ではありません。また、このデータは期間中のすべての取引を網羅したものでもありません。「そのエリアで中古住宅がどのくらい動いてきたか」という傾向をつかむための数字とお考えください。
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旧耐震・新耐震・2000年基準とは何ですか?
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建物の耐震設計の基準が大きく変わった節目による区分です。1981年6月に基準が強化され(新耐震)、2000年6月には木造住宅の耐震規定がさらに強化されました(2000年基準)。本記事の区分は建築年による目安のため、実際の物件では建築確認の時期や現況の確認が必要です。確認のポイントは別記事「失敗しない中古住宅の見極め方|リノベ向き物件のチェックポイント」で解説しています。
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このデータは毎年更新されますか?
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はい。本記事は毎年、最新3年分のデータで集計し直した新年版を公開する予定です。別の解説記事「浜松で中古住宅を買うならどのエリアが安心?地形・地盤から見る選び方」から、常に最新年版へリンクしています。
出典
- 国土交通省 不動産情報ライブラリ(不動産取引価格情報):https://www.reinfolib.mlit.go.jp/ (取引時期2023年Q1〜2025年Q4、2026年7月取得)
- 浜松市「区再編前と再編後の町字名対応表【行政区別】」(2024年1月1日時点):https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/ksh/ad/tht.html


