近隣住民や通行人の視線を気にせず暮らしたい

家はプライベートな空間であり、住む人にとっての安全基地です。

外から家の中が見えてしまうかもしれない

通行人に覗かれるかもしれない

なんて不安があったら、安心して暮らすことができませんよね。

特に隣家との距離が近い場合や、人通りの多い道沿いの場合。

プライバシーを大事に考えている人にとって、「外から見えてしまうかもしれない」という心配は慢性的なストレスになり兼ねません。

では、高い塀で家の周りを隙間なく囲ってしまえば安心して暮らせるでしょうか。

それとも窓やカーテンは開けないものと諦めれば良いのでしょうか。

それらもまた、閉塞感や制約のある生活に不満が溜まることになりそうです。

プライバシーを守りつつ、外の景色も楽しめる。

安心してのびのびとした気持ちで過ごせる。

そんなプライベート空間をつくるには、どうしたらよいのでしょう。

この記事では、近隣住民や通行人の視線を気にせず暮らすための工夫をご紹介します。

設計前に確認しておきたいこと

間取りを作成し始める前に確認しておきたいのが以下の点です。

  • 近隣建物の向き、窓の配置、距離
  • どの程度人通りがあるか(頻度や時間帯など)

つまり、その敷地に家を建てた時に、目の前の道路からどう見えるか、周囲の建物からどう見えるかを把握しておく必要があるということです。

住宅街の道路

また、洗濯物をどこに干すのかという視点も必要です。

人目につく場所に干すことに抵抗がある場合は、室内のランドリースペースも検討事項に加える必要が生じるかもしれません。

プライバシーを守るための工夫

近隣住民や通行人の視線を気にせず暮らすための工夫は、すなわち家族のプライバシーを守るための工夫です。

様々な角度から検討し、設計に取り入れると良いでしょう。

1. 建物、部屋の配置を工夫する

近隣からの視線を避ける最も根本的な方法は、建物や部屋の配置を工夫することです。

家を建てた後では変更できないため、建物の完成形はもちろん、周辺環境の様子を実際に確かめながら検討する必要があります。

1-1. プライベートな空間は通りから見えにくい位置に配置する

より開放的な暮らし方を求めるのであれば、プライベート空間の配置を重視するのもおすすめです。

つまり、近隣から見えづらい位置にリビングや寝室を配置する方法です。

例えば、2階リビング。

生活のメインとなるリビングを2階に配置するだけで、通行人からの視線を避けることができます。

2階リビング

また、中庭に向かって開けた間取りも素敵ですね。

L字型、コの字型、ロの字型など。

外からは見えにくい中庭を作ることでプライバシーを確保しつつ開放感も得られ、一挙両得です。

中庭のある家

ただし、間取りありきで考えることによって、以下のようなトレードオフが生じる場合もあります。

どちらも家づくりの満足度を左右する重要な要素。

十分な検討が必要です。

1-2. 隣家の窓の配置と重ならないように建物の向きを工夫する

周囲の家と建物の向きを敢えてずらすことで、気になる視線を逸らすという考え方。

お隣さんと窓が向き合ってしまうのを避けるために有効な手段です。

建物配置を斜めにしてみた図

ただし、土地の広さ、形状によっては建物の向きをずらすことが難しい場合もあります。

また、周囲の街並みとの調和を損ねないよう配慮が必要です。

1-3. ドアを開けた際に室内が見えないように玄関を配置する

敷地に対してどの方角に道路が接しているかは、設計において大変重要な要素です。

道路や駐車スペースからのアクセスは便利な方が良いですが、プライバシーも大事。

ドアを開けたら外から室内が丸見え、という事態はできれば避けたいものです。

最もシンプルな方法は、道路沿いに玄関を配置しないことです。

ただし、玄関は家族全員が通る動線の起点。

どこに配置するかは家全体の利便性にも影響します。

また、玄関の位置によってほかの部屋の日当たりや風通しに影響を与えることもあります。

間取りを全体的に俯瞰して検討したうえで道路沿いに玄関を配置したい場合は、以下のような工夫を検討してみてはいかがでしょう。

  • 目隠しのための袖壁や格子を設ける
  • 植栽やフェンスで目隠しする→ 3.植栽やフェンスで目隠しする へ
格子

2. 窓の位置やサイズを調整する

部屋の配置によって視線を避けることが難しくても、窓の位置やサイズを調整することでプライバシーを守る方法もあります。

2-1. 窓の高さを変える

周辺の建物と窓の高さをずらせば、視線が交差しにくくなります。

特に窓を高い位置に設けると採光性が向上し、空間を広く感じられる効果があります。

高窓

2-2. 窓を小さくする

近年は敢えて窓を小さくすることによるメリットが見直されています。

エネルギー効率の向上、防犯性の向上、メンテナンスの手間が軽減するなど。

デザイン性においても窓が小さくスタイリッシュな外観を好む方も増えています。

採光や通風を確保しつつ小さめの窓を採用することで、外からの視線を気にせず快適な暮らしが実現するかもしれません。

小さい窓

3. 植栽やフェンスで目隠しする

視線が気になる場所に植栽やフェンスで目隠しを作るのも有効な手段です。

この方法の大きな利点は、建物が完成した後でも対応が可能なこと。

例えば、常緑の樹を一本植えるだけでも目隠しになる場合もあります。

また、植栽やフェンスによる目隠しは以下のような副次的効果が得られる場合もあります。

  • 植栽による美観向上
  • 防風、防音効果

植栽やフェンスの配置は、現場監督や外構屋さんと位置関係を確認しながら検討すると安心です。

ただし、通常外構工事は本体工事と別料金となるため、あらかじめ予算を確保しておきましょう。

フェンスで目隠し
フェンスによる目隠し
植栽で目隠し
植栽による目隠し

高い塀やフェンスで家の周りをぐるりと囲うことで、外からの視線を気にする必要はなくなります。

しかし、プライバシーを大切に考えるあまり、閉塞感を感じる生活になってしまうのは本末転倒。

また、外部からの視認性が低下することにより、かえって空き巣や強盗のターゲットにされてしまう恐れもあります。

プライバシー対策をすることで敷地内に死角が増える場合は、以下のような防犯対策をセットで取り入れるとよいでしょう。

  • 人の動きを感知して点灯するセンサー付きライトの設置
  • 防犯カメラの設置
  • 敷地内に砂利を敷き、侵入者の足音を認識しやすくする

4. 窓周りに機能的な装飾を取り入れる

植栽等による目隠しと同様、建物の完成後でも取り入れやすいのが窓周りの工夫です。

窓装飾はドレープカーテンやレースカーテンに限らず様々な方法があります。

特定の窓だけに取り入れることも可能。

求めているプライバシーの保護レベルに合わせて選択できるのも利点です。

型ガラス
型ガラス
ルーバー窓
目隠しルーバー
目隠しフィルム
目隠しフィルム

大きな窓であれば縦型ブラインドを取り入れるのがおすすめ。

外からの視線を遮りつつ光の量を調節することができ、インテリアの要素としてもおしゃれな空間を演出できるアイテムです。

さいごに

気持ちよく生活を送ることができる家は、安全安心があってこそ。

耐震性や断熱性などの性能面だけでなく、プライバシーを守るための工夫も重要です。

家の中が外からどう見えるかを設計段階で想像するのは、案外難しいことです。

だからこそ、

ことがとても大切。

安心して暮らせる家を手に入れるための参考にして頂ければと思います。

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